海の向こうの風景

地平の更にその海の向こうに生きて来た日々

海の外に憧れ、そこにひたすら生きて来た。五大陸、四十数ヶ国に旅し、途中、サウジアラビアと米国に約八年間住み着いたものの、年月を重ねると望郷の念、止み難し。その四十有余年を振り返り長い旅を終えることとした。

2021-04-23から1日間の記事一覧

鬼が曳く サウジアラビア回想(2)

アラビア半島の東西の沿岸地域はいずれも冬期を除けば湿度が尋常ではなく高いが、リヤドは通年を乾燥しきって灼熱下でも汗さえ存在を許されない。極寒の極地で瞬時に水が氷るがごとく、この地では水分は瞬時に蒸発してしまう。急に息を吸い込もうなら即座に…

鬼が曳く サウジアラビア回想(1)

1990年代初頭、今日もまた善男善女が曳かれていく。 視界を遮るものとてない殺伐たる赤茶けたあるいは灰褐色の不毛の土漠の果てに、今日も一日ひたすら地表のものすべてと大気を焼き尽くしてきた白色の太陽が、漸く(ようやく)橙色に色を和らげて、地表に…