海の向こうの風景

地平の更にその海の向こうに生きて来た日々

海の外に憧れ、そこにひたすら生きて来た。五大陸、四十数ヶ国に旅し、途中、サウジアラビアと米国に約八年間住み着いたものの、年月を重ねると望郷の念、止み難し。その四十有余年を振り返り長い旅を終えることとした。

恋の舞台

恋は駅に始まり駅に終わる。現実の生活もそこに共にある。だから自分を投影しても比較的距離感は生じない。同じ恋でも海浜(海辺、砂浜等)を舞台にすると生活臭が消えて距離感が生じてくる。 駅には、西欧では終着駅、日本では通過駅という違いがある。この…

アジア慕情

かつての漢字文化圏は中国(香港、澳門)を中心に、台湾、越南、星港、韓国、日本であった。 越南と韓国は既に漢字使用を廃止して久しい。中国語を公用語としているのは中国、台湾、星港である。但し、星港は公用語を4つ持つ多言語国家である。今や厳密な漢…

地平線にクラクラ

世界には地平線しか見えない土地は意外に多い。行けども行けども視線の位置が変わらない。極端な話、瞳は全く上下動しない。もっとも都市を離れて遥か郊外に出ないとそういう光景には出くわさない。木々さえ遮る事のない田園地帯に立たないとわからない。だ…

心に流れる川

川は文明を産んだ。いずれも大河である。だが大河に魅力を覚える事はあまり無い。もっともナイル川以外の大河の側に立ったことがないのだから、そう言い切ってしまうのもどうかとは思うが、兎に角、対岸が微かに遠くに見えるような川は興味がない。それに、…

地中海は棲みにくい

地中海は棲みにくい。人間の話では無い、海の生物にとっての話だ。透徹した空とその下の紺碧の海、どうして棲みにくいはずがあろう。海が澄み過ぎて棲みにくいのである。 山のミネラルを運び込む河川が少ない。だから海水が澄む。乾燥しているから沿岸に森林…

ダンスはうまく踊れない

世界には様々な民族舞踊がある。大体はどこでも観光用のショーとして鑑賞可能である。舞踊は夜が似合う。 一番驚いたのはアルゼンチンのブエノスアイレスの街路を歩いていた時のことだ。情熱的でメリハリの効いた音楽がビルの谷間に反射して響いて来た。若い…

塩野七生の恋人

イタリア、この国の見方については、完全に塩野七生に変えさせられてしまった。感化されてしまったと言うべきか。それに塩野七生には恋人が多くて羨ましい。カエサル、マキャベリ、チェーザレ・ボルジア、ロレンツォ・メディチ、その周辺にはいい男が溢れて…